子どもが発達障害で…精神障害者手帳を取得すると経済的メリットがあるって本当?
大ありです!
FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、お金に関する国家資格)でもあり元公務員でもある私が解説します!
著者はこんな人
・FP2級のほか、外務員・簿記の資格もあり
・某役所に10年以上勤務(障害者手当の施策関係業務も担当経験あり)
・ASD+ADHDのマイクラオタク小学生男児のママ
経済的メリットは多い
特に大きいのは所得税と住民税の減免です。
順番に見ていきましょう!
① 所得税が控除される
もしお子さんが精神障害者手帳3級を取得した場合、取得した年から親の所得税が27万円控除されます。
「え?27万円そっくりまるまる税金減るってこと?ラッキー♪」と思われるかもしれませんが、
27万円まるまる減税となるわけではなく、
所得税が、27万円×●%(この税率は所得金額によるので、以下を参照)だけ、減税になるということです。
【例】父:所得金額400万(子は父が扶養している) 子:小学生精神障害者手帳3級
この場合、上の表で見てみると、所得金額400万円の場合税率が20%なので、27万円×20%=54,000円が減税となります。
Q 自動的に減税されるから何もしなくてOK?
⇒A 残念ながら自己申告制なので、サラリーマン勤めの方なら会社の「年末調整」で、それ以外の方なら「確定申告」で、障害者控除の欄にチェック・記入を忘れずに!
② 住民税が控除される
もしお子さんが精神障害者手帳3級を取得した場合、親の住民税が26万円控除されます。
住民税は、お住まいの市によって計算方法が違うため、「住民税 計算シミュレーション」で検索して実際に計算してみるのがおすすめです。
こちらも所得税同様、例で見てみましょう。
【例】東京23区の場合 父:所得金額400万 子:小学生精神障害者手帳3級
障害者控除なし 235,500円 障害者控除あり 209,500円
235,500円-209,500円=26,000円が減税されることが分かります。
Q これも所得税同様、自己申告制?
⇒A こちらは年末調整や確定申告で申告されていれば、自動的に市区町村で手続・計算してくれます。
③ 相続税が控除される
まず、大前提として、相続税は国民の約9%しか関係しない、富裕層向けの話題のため、実はほとんどの方は関係しません。
(参考:公益財団法人生命保険文化センター https://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy)
ですが、仮に資産が多いお父さん・お母さんの場合、精神障害者手帳を子どもが取得すると相続税の控除などメリットはとても大きいため、
税理士さんと相談の上、相続税対策として精神障害者手帳を取得することをおすすめします。
控除額は、「85歳に達するまでの年齢×10万円」です。
Q どれくらいの遺産を親の私たちが持っていると、遺族に相続税がかかるの?
⇒公益財団法人生命保険文化センターの早見表が参考になります!
相続税を払う人はどれくらいいる?|生活基盤の安定を図る生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター (jili.or.jp)
④ 贈与税が非課税になる
贈与税は、「もらった側」にかかる税金です。
つまり、精神障害者手帳を取得した子が親からもらったお金、本来は贈与税がかかるけど、特別に非課税にします、ということです。
しかしこれは普通の現金贈与のお話ではなく、「信託銀行等と信託契約を結んだ場合」のお話です。
「もし親の私が亡くなり、相続後一気に財産を渡した時、障害を持つ我が子がきちんと自分の生活費を管理できるか不安…」
と思われている方向けに、信託銀行等にお金を預け、親の自分の代わりに管理してくれる、という制度です。
信託銀行等と「特定障害者扶養信託契約」を結ぶと、親⇒子への贈与税が、3級の場合3,000万円まで非課税となります。
⑤ 少額預金の利子が非課税となる
元本が350万円までの預貯金の利子が非課税になる制度です。
これは、銀行に350万円お金を預けていても利子が1円しかつかない…という、今のような超低金利の時代でははあまり意味がない制度かもしれません。
昔は100万円を銀行に1年預けるだけで、1万円の利子がもらえる♪という高金利な時代があり、その利子所得に対する所得税が非課税♪という大きなメリットがありました。
その時代の遺物制度と言えますね。
⑥ 公債の利子が非課税となる
額面が350万円までの公債の利子が非課税になる制度です。
公債というのは、平たく言うと「国債」などのことです。
「国債を買う」ということは「国にお金を貸してその代わり利子をもらう投資」ということになります。
2023年時点の利子は0.05%程度となるため、正直、この非課税目当てに国債を買おう!とはならないかもしれませんが、
例えば元々株に合わせて国債も買っている個人投資家お父さんが、子供名義で国債を買っている場合はメリットがあるかもしれません。
⑦ 生活福祉資金貸付制度が利用できる
「生活保護を受けるほどではないけど、教育費が捻出できないし生活に困っている…」そんな方向けに国からお金を借りることができます。
生活福祉資金貸付制度は、非常に利子が低いのが魅力です。
社会福祉協議会又は役所にご相談がおすすめです。
⑧ 地域によってさまざまな支援が受けられる
鉄道、バス、タクシーなど交通機関の運賃割引
携帯電話料金の割引
公共施設やレジャー施設の入場料などの割引
福祉手当の支給
通所交通費の助成
軽自動車税の減免
公営住宅の優先入居
移動支援
ショートステイ(短期入所)
などなど…
詳しくは「お住まいの自治体名+精神障害者手帳」で検索してみてください。
個人的には映画館の割引がとても嬉しかったです!(映画館によりますのでHP等でお調べください♪)
例:障害者割引 1000円(通常1800円)付き添い同伴者2名が同料金(参考:名取:料金・割引情報:劇場案内:イオンシネマ (aeoncinema.com)
デメリットは?
私も発達障害の子どもが精神障害者手帳3級を取得した時に、何かデメリットがあるのではないか…と不安でしたが、
今実際に取得してみて、デメリットは全くなく、上記のような経済的メリットのほか、学校で支援も受けやすくなるなどメリットが非常に大きいと感じています。
強いて言えば、親と子の心理的抵抗感はあるかもしれませんが、
「いつでも返納できる」「誰に対しても開示する義務はない」ということを考えれば不安も和らぐかもしれません。
まとめ
精神障害者手帳3級を取得する経済的メリットについて解説してきました。
私のように、発達障害・グレーゾーンのお子さんをお持ちの保護者の方の参考になれば幸いです。
▼リタリコワンダーのプログラミング、発達障害のお子さんにおすすめなので記事を書きました!