息子が境界知能であることが分かって、支援についてものすごく悩みました…!
現在小学校3年生の息子が境界知能であることが分かり、悩みました。
一生懸命、支援策について調べる毎日。。
(そんな息子の特徴などはこちらの記事にまとめました↓)
悩んだ結果、私が選んだ支援策について書いていきます。
同じ悩みをもつ方のご参考になれば幸いです!
境界知能が取得できる可能性のある手帳
■療育手帳
知的に遅れがある場合、真っ先に思い浮かぶのは「療育手帳」(地域によって違う呼称の場合もあります。例えば東京都なら「愛の手帳」。)
ですが、境界知能(IQ70~84で何らかの支援が必要とされる)では療育手帳はとれないことがほとんどです。
しかし、地域によります。
例をあげてみましょう。
【東京都の場合】
- 1度(最重度) 知能指数およびそれに該当する指数がおおむね19以下
- 2度(重度) 知能指数およびそれに該当する指数がおおむね20~34
- 3度(中度)知能指数およびそれに該当する指数がおおむね35~49
- 4度(軽度)知能指数およびそれに該当する指数がおおむね50~75
東京都では、IQ70~75の境界知能の方は療育手帳(愛の手帳)を取得できる可能性が十分にありますが、IQ76~84の境界知能の子は難しいと言えます。
【愛媛県の場合】
愛媛県の場合は、どうやら「IQ76~84の境界知能の子」でも発達障害の程度によって療育手帳を取得できる可能性があるようです。
愛媛県の療育手帳判定実施要領を見てみましょう。
① 知的能力の評価
ア 標準化された個別式知能検査もしくは個別式発達検査を用いて、知能指数(発達指数)を算出する。個別式検査が実施できない場合には、聞き取り評価、行動観察等により、推定知能指数(推定発達指数)を算出する。
イ 算出された知能指数(発達指数)により、知的能力を最重度、重度、中度、軽度の4段階に区分する。
最重度 IQ(DQ)20以下
重度 IQ(DQ)21~35
中度 IQ(DQ)36~50
軽度 IQ(DQ)51~75
② 社会生活能力の評価 社会生活能力は、下の5項目について総合的に評価を行い、最重度、重度、中度、軽度の4段階に区分する。
身辺処理(食事、排泄、衣服、入浴など、身だしなみ) 移動(歩行、走行、交通移動) 意思交換(了解、表現、対人関係) 生活文化(文字、時間・時事、数・金銭、健康管理) 家事・学習・職業(手先・体力・持続力・身のこなし、家事など、 学習、就労)
③ 介護度の評価 行動監護、保健看護における困難性を1級~4級の4段階に区分して評価する。
1級 常時全ての面で、介護が必要
2級 常時多くの面で、介護が必要
3級 時によって、あるいは一部介護が必要
4級 点検、注意又は配慮が必要
(3)その他
専門医による自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)の診断のある発達障がい児及び発達障がい者については、知能指数の標準偏差範囲が0.5SD未満~-1.5SD以上の範囲(IQ又はDQ76~91)で、福祉総合支援センター、東予子ども・女性支援センター又は南予子ども・女性支援センターの長(以下「所長」という。)が必要と認めた場合には、軽度の障がいとして判定を行う。
愛媛県ホームページより
つまり、知能指数が高い自閉症などの発達障害児については、療育手帳が交付される地域とされない地域があるということです。
ぜひお住まいの地域の「療育手帳」の交付基準をつぶさに確認してみることをおススメします。
ちなみに私の住む地域は、例に挙げた東京都と同じような交付基準で、ASDがあったとしてもIQが75以下ではなければそもそも療育手帳は難しい、との回答でした。
例えばIQ76のASDは手帳が交付されません。(仮に愛媛県であれば、この場合交付される可能性は高いです。)
個人的には、地域によって療育手帳の交付基準が違うということ自体、許されない不平等なことだと思います…。是正されることを願います…
■境界知能のある子が療育手帳を取得するメリット
- 学校で加配申請がスムーズになる、または特別支援学校に通える
- 経済的支援が受けられる(JRやバス等の割引・税制上の優遇)
- 特別児童扶養手当を取得できる可能性が高くなる
↓グレーゾーンの子の特別児童扶養手当についてはこちらをご参照ください
また、あまり他のブログやサイトでは言われていませんが、療育手帳を子供の時に取得しておくことの最大のメリットは、「成人後にスムーズに障害年金を受けられる可能性がかなり高くなる」ということだと思っています。
【余談話】
私の弟はIQ63の知的障害児でしたが、親が障害受容しないタイプだったので、療育手帳を取得しておらず…。
20代後半でようやく療育手帳を取得しました。
しかし、障害年金の審査を通すのにかなり苦労した上に、当然ですが取得した20代後半からしか受け取れず…。
20代前半、国民年金保険料なども払いながら、就職もできず、経済的に苦労をしていたので、「もっと早く取得していれば…」と思いました。(でも私としてはいただけるだけ本当にありがたいと思っています。)
社労士さんからは「もし彼が子どもの頃きちんと療育手帳を取得していれば、当然に、しかもスムーズに20歳から障害年金が受け取れたはずだったのに…」と言われ、少し後悔です…。
精神障害者保健福祉手帳
境界知能(IQ70~84で何らかの支援が必要とされる)のほかに、発達障害(ASD、ADHD)もあるという方は取得できる可能性が十分にあります。
対象は以下のとおりです。
- 統合失調症
- うつ病、そううつ病などの気分障害
- てんかん
- 薬物やアルコールによる依存症等
- 高次脳機能障害
- 発達障害(自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠如・多動性障害、等)
- その他の精神疾患(ストレス関連障害等)
医師に相談した上で申請してみる価値は十分にありそうです!
なお、こちらも残念ながら取得できる・できないに地域差がありそうです…(こちらは明確なエビデンスなし、下記調査から考えられた完全なる憶測です)
手帳取得率を確認した結果、都道府県(政令指定都市を除く)の平均は47.8%、政令指定都市(静岡市を除く)の平均は56.7%であった。このうち本研究では手帳取得率の高いA県(78.1%)とB県(64.0%)、低いC県(34.5%)、平均的なD県(49.6%)、政令指定都市の代表としてE市(66.7%)を調査対象地域とした。
精神障害者保健福祉手帳の取得に関する地域間格差の実態研究 日本社会福祉学会 第57回全国大会 より
▼精神障害者手帳3級には経済的メリットもあります。
境界知能で受けられる学校の支援
療育手帳が取得できる一部の境界知能の子は「特別支援学校」も選択として可能ですが、ほとんどの境界知能の子は難しいと思われます。
その場合、「通常級」ではなく「通級」も可能です。
例えば東京都の場合は、「STEP UP教室(情緒):情緒・行動面で個別の対応が必要な児童・生徒のための教室(特別支援教室)」という教室が全ての区立小・中学校に設置されています。
※東京都だと「通級」→「特別支援教室」と名前が変更されています。東京都は「療育手帳」を「愛の手帳」と呼称したりする独自路線が強いんです…。ややこしいですが、便宜上このブログでは「通級」と呼びます。
私の息子の場合は、この「通級」を利用しており、週に1回、在籍している小学校に資格をもった教員の方が巡回できてくれて、個別1時間、集団1時間で、計2時間指導してくれています。
この「教員の方が巡回で在籍校に来てくれる」という東京都のスキームがすごく助かっています!
数年前の従来型通級だとわざわざ親が送り迎えして、通級校へ移動しなければなりませんでした。
それが今は、息子の場合、同じ階の隣の部屋にひょいっと移動するだけです。
全国に広まるといいなと思います。
この「通級」は手帳取得は要件となっておらず、「情緒的な課題」、つまり発達障害などで通常学級でうまく適応できていなければ利用可能です。
まとめ
境界知能のお子さんが受けられる可能性のある手帳は2つ。
「療育手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」です。
また、境界知能のお子さんが受けられる学校の支援の一つとして「通級」が考えられます。
グレーゾーン・境界知能の子どもは受けられる支援が少なく、「見過ごされてしまう子どもたち」として問題提起している専門家の方も多くいます。
▼悩んでいた時に私が読んでいた本です。境界知能界隈では有名な宮口先生による著。漫画なのでサラサラと読めます。
価格:1,760円 |
少ないと言われる境界知能の子どもへの支援ですが、きちんと上手に活用して少しでも学校生活が楽しくなるよう支援していきたいと考えています。
ご参考になれば幸いです。