知ったきっかけは名文
トンツカタン森本さんにハマっています。
普段、私は超零細ひとり社長として不動産賃貸業を営んでいます。
1人で切り盛りしているため、毎日多忙を極め、趣味といえば不動産関係の本を読むことくらい。趣味といっても、それも実質仕事の延長です。
娯楽的な趣味に関心がなく、お笑いも全く詳しくありませんでした。
私がトンツカタン森本さんについて初めて知ったのは、不動産サイト「suumo」の三軒茶屋に関する記事を読んだときでした。
読んでいただければわかるとおり、非常に読みやすく、お笑い芸人さんだからこそ醸し出せるユーモアがあります。
謙虚さも伝わりますね。
率直に「読んでいて心地よい、面白い文章だ」と感じました。
そのときは「良い文章だったなー」と読後の満足感だけを得て、それで終わりでした。
連載されていたら間違いなくフォローしていたでしょうが、単発の記事だったので……。
文章媒体を通じて森本さんを知ることは珍しいと思われます。
多くの人はYouTubeなどで流れてくる「ノブロックTV」、「タイマン森本」、「ハマスカ放送部」を通じて森本さんを知ることが多いのではないでしょうか。
私自身も、ノブロックTVをきっかけに森本さんを追いかけ始めました。
夫の勧めでノブロックTVを見て「あ、あの文章を書いた人だ」と気づき、やっぱり面白い人だ!と感じてYouTubeでフォローを始めました。
トンツカタン森本さんを知る→ファンになる→コアファンになるというマーケティング的な流れを図にして整理してみました↓
異論は認めます。
タイマン森本の秀逸なビジネスモデルと今後の発展
図に大きく「タイマン森本」と記載したのには理由があります。
この「タイマン森本」がとにかく凄いのです。大変秀逸なビジネスモデルのコンテンツなのです。
ここでは、みんながぼんやり認識はしているだろうけど、野暮だから言わないようなことを、堂々と恥ずかし気もなく私は言語化してみたいと思います。
ピンチをチャンスに
ツッコミガチ勢と自称する森本さんには、ボケが不在では成立しないという不利な点があります。
普通に考えれば、そのボケ役は相方であるお抹茶さんと櫻田さんが担うことが道理です。
つまり、トンツカタンとして何かYouTubeコンテンツを始めることもできたはず。
しかし、相方のトンツカタンお抹茶・櫻田さんは平場が弱く、伸びしろが期待できないというのが一般的な見方。
(これは私の意見ではなく、一般的な見方です。私はお抹茶さんの大ファンです。)
森本さんはしくじり先生で「このままじゃ(トリオみんなで)ジリ貧だなと思って…」とコメントしていました。
確かにこれは当然に抱くであろう危機感。
そのピンチをチャンスに変えるコンテンツが「タイマン森本」なのです。
森本、出演者、双方にシナジー
タイマン森本では、若手芸人を中心に勢いのある芸人さんを招いて、森本さんが存分にキレのあるツッコミを展開。
この仕組みであれば、「どのような人が来てもこんなに上手くつっこめますよ」と森本のツッコミ力を各方面(プロデューサーなど)に存分にアピールできます。これ自体が広報材料になるわけです。名刺がわりの「タイマン森本」。
そして、何より凄いのは森本と出演者、双方に相乗効果をもたらす点です。
「タイマン森本」に招かれた芸人(例えばぱーてぃーちゃん信子)が抱えるファンも「タイマン森本っていうのに、信子ちゃん出るらしいから見ようかな~♪」と視聴するため、森本の認知層が広がります。
もちろん、招かれた芸人側から見ても、「タイマン森本」の固定ファン(登録者11万人以上)が視聴してくれるメリットは大きいのです。
これが凄いのは、仕組み自体だけでなく、実際に森本さんのツッコミによって芸人たちが生き生き見えることです。
一方のファンがもう一方のファンになる。逆も然り。
つまり、「タイマン森本」に出演する芸人と森本、双方のシナジー効果が凄まじいのです。
お笑い芸人としての視座の高さも目を見張るものがあります。
一般的な芸人の場合、目標は「M1優勝」など目の前の事象に限られることが多いでしょう。
達成できず売れなければ、芸人を諦めてフリーターへ…これがよくある展開です。
しかし、森本さん(あるいは森本さんを売れさせようとする周りの人間)は、もっともっと広い視野で見ています。
トリオで売れないとしても、それで諦めるわけもなく。
トリオがダメなら若手みんなでお笑い盛り上げていけばいいじゃない?と、マリーアントワネットもびっくりの発想の転換。
トリオなんて小さい単位で考えない。
若手みんなを巻き込んで、売れていこうとするスタイル。
これが凄い。ビジネスの着眼点として、これは凄い。鳥瞰的視野の広さ。
さらに凄いのは、このシナジー効果と「若手みんな巻き込んで売れていこ?ね?」というスタンスが、
引いては次世代若手芸人の「お笑い文化圏」の形成につながるのではないか、という点です。
私はこの「タイマン森本」には、業界に変革をもたらすポテンシャルがあると考えています。
TVとネットコンテンツ
ところで、皆さんは、TVとYouTubeであればどちらを多く見ていますか?
私はめっきりTVを見なくなりました。
TVのMCの席も50代~60代のベテラン層が牛耳っていて、次世代交代はまだまだ先のようです。
今はまだ高齢者が多少視聴率を支えているとはいえ、YouTubeをはじめとするネットコンテンツの台頭により、TV業界は衰退の一途を辿っています。
当時30代の中田敦彦さんのように、それをいち早く感じ取り、テレビからYouTubeに軸足を移し、成功しているお笑い芸人さんも多くみられるようになりました。
私が久しぶりにTVを見たのは、トンツカタン森本さんとお抹茶さんが出演した「お笑い向上委員会」です。
大ベテランMC明石家さんまさんが大回しをする中、若手芸人は必死にトークの流れにしがみつき、場を盛り上げていました。
空気を読み合い、トップの顔色も見つつ、チームで組織が求めるゴールを目指す姿は、大企業に勤めるサラリーマンたちのように見えました。
そういう切り口で見れば、YouTubeは出演者の働き方としてフリーランスのようだな、と思います。
フリーランスは、大企業で培った経験をベースに生かしつつ、組織では殺されていた個の強みを発揮して、のびのびと働きます。
YouTubeの森本さんの表情もまた、TVで見るときと違い、穏やかでのびのびしているように感じました。
森本さんは最近、「タイマン森本」で「最近思うのは、8割楽しい仕事が続けばいいな」と発言していました。
以前はよく「突き抜けるように売れたい」と言っていましたが、最近その言葉を耳にすることはありません。
M1優勝やKOC優勝を経て、テレビにバンバン出る売れっ子へ、という鉄板ルートはもう森本さんの視野から外れた気がします。
最近のおこたしゃべりでは「生活ができるくらいの仕事ができていて、それで十分」というような発言もありました。
森本さんはTV出演は広報の一環と位置付け、「タイマン森本」など自身の冠コンテンツへ集客を促すビジネスモデルに移行しようとしているのかもしれません。
次世代芸人界、全体で売れる仕組みづくり
森本さんだけでなく、他の若手芸人も同じなのではないでしょうか。
業界が変革しつつある時代の最中、若手芸人たちも自身の身の振り方を模索している途中なのだろうと推測します。
そこで、私が期待したいのは、次世代を担う芸人たちによる、
「タイマン森本」を礎とした「独自の新しいお笑い文化圏」の形成です。
TV業界での経験もしっかり活かしつつ、独立して芸人たちのユートピアを作ってしまうのです。
例えそれがバブル時のTV業界みたいに大富豪になれる道ではなくても、生活できるレベルくらいあれば十分。
だって大富豪になるべくTV業界での出世を待ってても、50代~60代のベテラン層は席を譲ってくれませんから。
そんなの待っていたら先にTV業界が完全に沈没しているかもしれません。
ただし、これは世代交代ではありません。
ベテランたちの領域は侵さず、
むしろ老練たるベテラン芸人さんたちにも出演していただきつつ、
じんわりゆっくりと独自のお笑い文化圏を作り、ファン層を拡大させ、
独自のユートピアを創造する。
じんわりゆっくり。これが重要です。
爆発的だとハレーションが起こりますから。
だからこそ、突き抜けるように売れちゃだめなんです。
じんわりゆっくりと新しいお笑い文化圏を形成する。
これが「タイマン森本」の拡大とともに、起こりえる未来だと思います。
これは、今までの限られたファンや番組の枠を奪いあう、ゼロサムゲームからの脱却を意味します。
むしろ森本さんは、新しいファンと雇用(出演枠)を創出し、みんながwin-winとなる場を提供しているのです。
一般的なお笑い芸人が運営するYouTubeは、結局は他のお笑い芸人YouTubeとの競争になるわけですが、タイマン森本は違うわけです。
むしろ他のお笑い芸人も一緒に売れてほしいわけです。そして、また2回め3回めとまたタイマン森本に来てほしい。
「タイマン森本」がお笑い業界を牽引する雰囲気すら出てくる可能性があります。
他のお笑い芸人のYouTubeと一線を画す理由はここにあるのです。
まとめます。
森本さんが「タイマン森本」で行おうとしていることは、「新しいお笑い文化圏の創造」です。
(きっと表立って言えないだけで、森本さんもスタッフの方も確実に狙っていると思い、断言しました)
(そういえば、永野さんもタイマン森本のスタッフを指さして「この人たちは、だって、革命起こしたい(人たち)」と指摘してました。結構言いたいことわかります。そう、「タイマン森本」に携わる人が考えていることは「革命」なんです。)
あわよくば、昔の「笑っていいとも」のような皆に愛される良質なコンテンツにつながればいいな。
タモさんポジションに、森本さんで。
次回も引き続き森本さんの魅力について語ります。